メタバースとは何か？分かりやすく解説｜何ができる？注目される理由とは

最近何かと「メタバース」という言葉を耳にする機会が多くなってきました。

メタバースとは、「インターネット上の仮想空間」のこと。自分自身をアバターと呼ばれるキャラクターに置き換え、仮想空間での交流やイベントなどを楽しめます。

近年は各自治体のメタバース空間なども公開されており、より身近な存在となってきました。

この記事では、そんなメタバースについてわかりやすく解説します。何ができるのか、注目されている理由などについて言及していますので、ぜひこの記事を参考に知見を深めてください。

メタバースとは何か？分かりやすく解説

メタバースの「メタ」は「超越した」という意味の言葉で、バースは「ユニバース（宇宙）」のこと。この2つを組み合わせた造語が、メタバースです。

冒頭でもお伝えした通り、メタバースをひと言で表現すると「インターネット上の仮想空間」となります。

メタバース内のバーチャル世界では、自分自身を「アバター」と呼ばれるキャラクターに置き換えて操作することが可能です。そのアバターが他のユーザーとコミュニケーションをとったり、イベントに参加したり、ビジネスを行ったりと、幅広い活動が可能です。

近年では、旧Facebook社が社名を「Meta」へ変更するなど、メタバースが世界に広がりつつあることが伺えます。日本企業の多くもメタバースへの参加を表明しており、これからさらに注目が集まることが予想されます。

身近にある分かりやすいメタバースとは？

実は、メタバースは身近なところに存在しているのをご存知ですか？例えば、以下のようなものがメタバースの分かりやすい例として挙げられます。

• フォートナイト
• あつまれどうぶつの森
• Minecraft（マインクラフト）
• バーチャル渋谷

上記を利用したことがない方でも、どこかで耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。特に、「あつまれどうぶつの森」は社会現象にもなっていました。

上記の他にも、細田守監督の映画「サマーウォーズ」は、メタバースがテーマの作品として国内外でも大きな話題となりました。

このように、身近なところにすでにメタバースは存在していますし、今後は今まで以上にメタバースに触れる機会が増えていくでしょう。

「メタバース」と「VR」の違い

「メタバース」と「VR」は同じ意味で考えられてしまいがちですが、以下のような違いがあります。

メタバース	仮想空間そのものを表す言葉
VR	仮想空間を体験するための機材や技術のこと

メタバースはインターネット上に存在する「仮想空間そのもの」を表す言葉で、VR機器の使用は関係なく利用することが可能です。対して、VRは仮想空間を体験するための機材や技術のことで、「VRゴーグル」や「VRヘッドセット」などのようなデバイスを意味しています。

また、メタバース内の空間にVRを取り入れることで、より現実に近い感覚で仮想空間を体験することが可能です。メタバースでより臨場感を味わうためには、VRは必要となるでしょう。

とはいえ、メタバースではアバターを介して様々な体験をすることができるため、VRなしでも問題はありません。あくまで、現実に近い体験をしたい場合のオプションの1つとして考えておきましょう。

メタバースが注目されている理由

世界的に広まりつつあるメタバースですが、なぜここまで注目されるようになったのでしょうか。この背景には複数の要素が関連していますが、主に以下3つが挙げられます。

• VR技術が発展した
• NFTの実用化による影響
• 新しいコミュニケーションとしての可能性

VR技術が発展した

VR機器の技術が発展し、広く普及するようになってきたことにより、VRコンテンツの供給が増加しました。それに伴い、VR機器の軽量化や値下がりが進んだことも、消費者にとってプラスに働いたことが大きく関係しています。

つまり、以前よりも優れたVR機器を入手しやすくなったことで、そのVR機器を利用できるコンテンツが増えてきているというわけです。

NFTの実用化による影響

ブロックチェーンを活用したNFTが実用化されてきたことも、メタバースが注目される理由の1つです。

NFTとは「非代替性トークン」のことで、デジタル上のデータを世界で唯一の本物と証明するための技術として用いられています。

この技術のおかげでデジタルデータに唯一性が生まれたことで、メタバース内でもアイテムや土地などのデータをNFTとして売買することが可能となりました。

現在は、メタバースで入手したNFTをNFTマーケットプレイスで売買できますし、NFTマーケットプレイスで入手したNFTをメタバース内で利用したり、売却することも可能となっています。

こうした一連の関係性からも、NFTと連動するようにメタバースも注目されてきているわけです。

新しいコミュニケーションとしての可能性

昨今はコロナ禍の影響もあり、感染防止対策の一環としてオンラインでのコミュニケーションツールの普及が一気に加速。打ち合わせや会議などをZOOMなどのオンラインツールで行うことは、当たり前となりました。

こうした新しいコミュニケーションツールの1つとしても、メタバースは注目されています。

実際に会っていることに近いような感覚でコミュニケーションできるのがメタバースの特徴で、今後も技術の発展と共に、より快適なコミュニケーションツールとして注目されることでしょう。

メタバースでできること

ここまでもメタバースの特徴をご紹介してきましたが、改めて「何ができるのか？」という観点からメタバースの特徴をまとめます。

「メタバースでできること」を大きな枠で分類すると、主に以下の３つです。

• 仮想空間で様々な活動や体験ができる
• 非現実的なことも体験もできる
• メタバースによってビジネスチャンスが広がる

仮想空間で様々な活動や体験ができる

メタバース内の仮想空間では、様々な活動や体験ができます。

例えば、ゲーム、イベントやライブへの参加、ショッピング、旅行、ビジネスなど。こうした体験を、自宅にいながら仮想空間で行えるわけです。

実際に会ったり、現地に行ったりする感覚に近い体験ができるため、従来のオンラインツールよりもリアルに近い感覚を味わえます。こうした体験を、全世界のユーザーとリアルタイムで同時に共感できる点も魅力的ですね。

非現実的なことも体験もできる

仮想空間では、現実世界の物理法則を無視したような、非現実的な体験も可能です。

例えば、羽を生やして空を飛んだり、宇宙に行ってみたりなど、現実に捕われない活動をすることもできます。

現実を超越した体験ができる点も、メタバースの大きな醍醐味と言えるでしょう。

メタバースによってビジネスチャンスが広がる

メタバース内ではNFT作品などの販売が可能なため、新たなビジネスチャンスが広がります。

例えば、通常のネット通販ではスタッフと会話をして商品を購入することはできませんが、メタバースでは実際の店舗で買い物をする感覚で、スタッフと会話をすることも可能です。より現実に近い感覚で買い物を楽しめます。

こうした可能性は、クリエイターにとってもユーザー側にとっても非常に楽しみですね。新たなビジネスチャンスが生み出されることに期待しましょう。

メタバースの活用ジャンルと今後の活用法

現在、メタバースが活用されているのは、主に以下のような分野です。

• ゲーム
• オンライン会議
• バーチャルオフィス
• イベント・ライブ
• ショッピング

ゲーム

代表的なメタバースと言えば、ゲームが挙げられます。メタバースを利用したゲームの多くでは、アバターを操作することでゲーム内の出来事を体験することが可能です。

メタバースゲームには、以下のような作品があります。

• フォートナイト
• あつまれどうぶつの森
• Minecraft（マインクラフト）
• Decentraland（ディセントラランド）
• The Sandbox（サンドボックス）
• Axie Infinity（アクシーインフィニティ）

メタバースゲームはゲームの中で多人数が集まり、自由に遊んだり一緒に行動を共にしたりできる点などが特徴的です。こうしたゲームを通して、現実世界に近いリアルな体験を楽しんでいる方も増えてきています。

オンライン会議

メタバースはビジネスの場でも取り入れられています。その例として挙げられるのが、オンライン会議です。

従来のオンライン会議は、ZOOMやTeamsなどのオンラインツールを利用して行われてきましたが、実際の会議のような臨場感は味わえませんでした。

ですが、メタバースを活用したオンライン会議では、自宅にいながら同じ空間を共有することが可能に。VRゴーグルやVRヘッドセットなどの利用で、その場で会議が行われているかのような感覚を体験できます。

このように、従来のオンライン会議にはなかった人との距離感や緊張感などを感じられるため、新しいコミュニケーションツールとして、メタバースを活用したオンライン会議を行う企業が増えてきています。

バーチャルオフィス

オンライン会議以外にビジネス利用で注目されているのが、バーチャルオフィスです。

バーチャルオフィスとは、仮想空間のオフィスにアバターで出社し、業務やコミュニケーションが行えるサービスのこと。話題となっているサービスには、以下のようなものがあります。

• Horizon Workrooms
• Mesh for Microsoft Teams

Horizon Workrooms

「Horizon Workrooms」は、2021年にMeta（旧Facebook社）がリリースしたバーチャルオフィスです。実際に同じ空間にいるような感覚で会話でき、会議や業務が行なえます。独自の技術により、話しかけられている方向や距離が分かるようになっているのも特徴です。

Mesh for Microsoft Teams

「Mesh for Microsoft Teams」は、2022年にMicrosoftがリリース予定のコミュニケーションツールです。

会議や交流、業務を行うことをコンセプトとしたサービスで、オンラインでのスムーズなコミュニケーションが目的とされています。

イベント・ライブ

メタバース空間ではイベントやライブも行われています。従来は画面越しで見たり参加したりすることしかできませんでしたが、メタバースではその場にいるような臨場感を味わうことが可能に。アーティストなどと一緒にいる感覚を体験できる楽しみは、まさにメタバースの醍醐味と言えるでしょう。

中でも話題になったのは、2020年8月にゲーム「フォートナイト」内で行われたアーティスト「米津玄師」さんのライブです。こうした成功例からも、企業のイベントやライブが開催される機会が増えてきています。

ショッピング

メタバースを利用したバーチャルショップも注目されています。バーチャルショップはメタバース上に作られた店舗で、実際に来店したかのように商品の閲覧や買い物が可能です。

従来のネット通販では店舗スタッフと会話をすることができませんが、バーチャルショップではスタッフとの会話も交えながら商品を購入できます。

こうしたバーチャル店舗は、現実世界で行ってみたいお店が近くにない場合などにも便利ですね。有名ブランドの「GUCCI」やスポーツブランドの「NIKE」、アパレルの「H＆M」などもバーチャル店舗を展開していますので、ぜひ試してみてください。

また最近では、既存のメタバース上のサービスに出店することを意味する「メタバースEC」も話題となっています。すでに展開されているメタバース内の商業施設にお店をオープンするイメージです。

認知度のあるメタバースのサービスに出店することで、一定数のユーザーの来店や売上を見込める点や、コストをかけずにオープンできる点などが魅力とされています。

こうした背景からも、今後もショッピング分野でメタバースは活用されていくことでしょう。

おすすめのメタバースプラットフォーム

メタバースにもジャンルがあり、様々な種類のプラットフォームがリリースされています。どのメタバースを選べば良いか迷ったら、以下8つの人気プラットフォームから試してみてください。

• Cluster（クラスター）
• Decentraland（ディセントラランド）
• The Sandbox（サンドボックス）
• VRchat（VRチャット）
• Axie Infinity（アクシーインフィニティ）
• フォートナイト
• ZEPET（ゼペット）
• Everdome (エバードーム)

上記8つのおすすめのプラットフォームの詳細は、以下の記事でまとめています。

メタバースの始め方

メタバースを始めるために必要なのは、以下の4点です。

• 仮想通貨取引所の口座
• MetaMask（メタマスク）
• パソコン
• VRゴーグル・コントローラーなどの周辺機器

メタバースを始めるには仮想通貨が必要となってくるため、取引所の口座開設とウォレットの作成が必要です。加えて、快適にメタバースを楽しむなら、それなりのスペックのパソコンと周辺機器が必要となります。

上記を用意したうえでプラットフォームに登録し、メタバースを楽しみましょう。

メタバースを始めるための準備や始め方については、こちらの記事で詳しくまとめています。

メタバースの注意点

最後に、メタバースについての注意点を説明します。以下の点に注意しておきましょう。

• パソコンなどの機材が必要
• メタバース空間の依存性の強さ
• ハッキングなどのリスク

パソコンなどの機材が必要

メタバースを始めるには、パソコンや周辺機器（VRゴーグル・コントローラー）、利用するメタバースに対応した仮想通貨の購入などが必要で、こうした機器を揃えるために初期投資が必要となる場合があります。

まず、パソコンですが、メタバースを快適に楽しむにはそれなりのスペックのパソコンが必要です。

一般的にメタバースを楽しめるパソコンは、下記のスペック以上が推奨されています。

CPU	Corei7以上、Ryzen７
メモリ	8GB以上（16GBがおすすめ）
GPU	GeForceRTX3060

次に、VRゴーグルですが、なくてもメタバースを利用すること自体に問題はありません。ですが、実際にメタバース空間を移動したりする感覚を味わうには、必要なアイテムと言えるでしょう。

価格は安いものなら2,000円ぐらいから販売されていますので、可能であれば用意しておきましょう。

その他にも、コントローラーやメタバース内で必要となる仮想通貨などの準備も必要です。

メタバースを始めるためには、こうした機材などの初期費用がかかると考えておきましょう。

メタバース空間の依存性の強さ

現実世界のような感覚を味わえるメタバースですが、没入感が強い点が懸念されています。

つまり、メタバースの世界にのめり込みすぎてしまって、なかなか抜け出せない方が増えるのでは？と危惧されているわけです。

こうした減少に陥らないためには、メタバースはあくまでも「その世界観やコミュニケーションを楽しむためのツールである」ということを、強く認識しておく必要があります。

現実世界に影響が出ないように、程々の距離を保つことが大切です。

ハッキングなどのリスク

メタバースを利用するには、仮想通貨を保管する「ウォレット」が必要となります。このウォレットを利用するにあたり、ハッキングなど被害に遭わないよう注意しなければなりません。

ウォレットを巡っては、過去にもハッキングなどの被害が起こっており、仮想通貨を盗まれてしまった事件が発生しています。こうした被害に遭わないためにも、セキュリティの高いウォレットを選び、パスワードの複雑化や二段階認証の設定を徹底しておく必要があります。

ウォレットの管理には、十分に注意してください。

まとめ

メタバースとは「インターネット上の仮想空間のこと」を意味します。メタバース内のバーチャル世界では、自分自身を「アバター」と呼ばれるキャラクターに置き換えて操作することで、そのアバターが他のユーザーとコミュニケーションをとったり、イベントに参加したりすることが可能です。

メタバースはすでに身近に存在しており、ゲームや娯楽、ビジネスなど、様々な分野でも活用されています。自分に合った分野から、少しずつメタバースを試していくのもおすすめです。

また、「メタバース」と「VR」は同じ意味で捉えられがちですが、メタバースはインターネット上に存在する「仮想空間」そのものを表す言葉で、VRは仮想空間を体験するための「VRゴーグル」や「VRヘッドセット」などのようなデバイスのことを意味しています。

メタバースを活用することで、従来よりも現実に近い感覚で仮想空間を体験することが可能です。これからの社会生活にも大きな影響を与える可能性もありますので、メタバース技術の発展や普及にも、注目していきましょう。