ビットコインが暴落するのはなぜ？理由から下落の歴史、対処法も解説

ビットコインは過去に何度も価格が暴落することがありましたが、その原因は何なのでしょうか。これだけ価格が急激に上昇したり下落したりすると、投資対象としては不安を感じる方も多いはず。

しかし、ビットコインが暴落する際には必ず理由があります。価格変動前に情報を入手することは難しいですが、これらの理由や過去のデータを理解しておくことで、今後の価格変動に備える上で役立つはずです。

この記事では、ビットコインが暴落・下落する主な理由を解説し、過去のトレンドや今後できる対処法についてもご紹介します。

ビットコインは他の仮想通貨にも大きな影響を与える通貨ですので、その動向を理解しておきましょう。

ビットコインが暴落・下落する主な理由5つ

まずは、ビットコインが暴落・下落する主な理由について解説します。

過去にビットコインは、以下5つのような要因により暴落したことがあります。これらについて理解しておきましょう。

• 国家レベルでの規制や法的な制限
• 主要な取引所の破綻やハッキング事件 
• 世界情勢の変化
• 著名人による発言
• 株や為替などの影響

国家レベルでの規制や法的な制限

仮想通貨市場は国家レベルでの規制や法的な制限に敏感に反応します。過去には、各国が仮想通貨に関する法的規制を強化した際に、ビットコインを含む仮想通貨の価格が大きく下落することがありました。

例えば、2021年9月に中国が仮想通貨取引やマイニングを禁止した時、ビットコインの価格は約10％近く下落しました。

このような規制は主に詐欺やマネーロンダリングの防止を目的としていますが、市場参加者の活動を制限することから価格変動を引き起こすことがあります。

しかし、長期的に見ると法規制の整備が仮想通貨市場に安定性をもたらし、プラスの影響を与えるとも考えられます。したがって、日本を含む各国で今後も法的規制が導入される可能性があることを理解しておくことが重要です。

主要な取引所の破綻やハッキング事件

主要な仮想通貨取引所の破綻やハッキング事件は、ビットコイン価格の急落に繋がる原因の1つです。これらの問題が発生すると、多くの投資家が不安を感じて仮想通貨を売り始め、価格の暴落が起こりやすくなります。

最近では、2022年にFTXが破綻した際には、世界中の投資家に大きな衝撃を与えました。取引所が財務的に困難に陥ると、市場全体の信頼が失われ、ビットコインを含む仮想通貨の価格が下落する可能性があります。

また、取引所がハッキングされるとセキュリティへの不安が高まり、投資家が売却を加速させることがあります。

このような状況は特に、大規模な取引所で起きるとビットコインの価格に特に大きな影響を及ぼすことが多いです。

世界情勢の変化

世界情勢の変化は、ビットコインの価格に大きな影響を与えることがあります。

例えば、2020年の新型コロナウイルス感染症の流行によるパンデミック宣言、2022年からのアメリカの金融引き締め、近年のロシアのウクライナ侵攻などの出来事は、ビットコインの価格に大きな影響を及ぼしました。

こうした国際的な出来事は、投資家の心理に影響し、価格の急激な変動を招く可能性があります。そのため、ビットコインへの投資を行う際には、世界情勢の動向に注意を払うことが重要です。

著名人による発言

著名人による発言も、ビットコインの価格に大きな影響を与える可能性があります。特に、アメリカの起業家イーロン・マスク氏のような影響力のある人物の発言は、ビットコインの価格変動の要因になることが多いです。

実際に、過去にはイーロン・マスク氏による発言1つで、ビットコイン価格が大きく上昇、下落したことがあります。特に2021年5月にイーロン・マスク氏がテスラ社でのビットコイン決済を停止すると発表した際には、ビットコインの価格は約10日間で約200万円下落したのです。

また、イーロン・マスク氏がビットコインに関する前向きなコメントをすると、市場が反応して価格が急上昇したこともあります。

このように、特定の著名人の発言は市場の心理に影響を与え、ビットコインを含む仮想通貨市場の動きに大きく影響するため、こうした発言に注意を払うことが重要です。

株や為替などの影響

株式市場や為替市場の動きも、ビットコインの価格に影響を与えることがあります。

株式市場が大きく下落すると、リスクを避けたい投資家がビットコインなどのリスク資産を売却するのが一般的です。このような行動は、ビットコインの価格下落につながることがあります。

また、アメリカFRBの金融政策の変更は、金利や市場の流動性に影響を及ぼし、これがビットコインを含む経済活動全体に影響することがあります。

したがって、ビットコインの価格動向を正確に理解するためには、株式や為替市場のような他の金融市場の状況にも注目することが重要です。金融市場は相互に影響し合うため、一方の動きが他方にも影響を与えることがあります。

仮想通貨ビットコインの暴落・下落の歴史をチャートで紹介

続いて、過去にビットコインの価格が大きく下落した時の歴史を、チャートを振り返りながらご紹介します。

様々な要因によって価格が変動するビットコインですが、特に注目すべきなのは、以下の4つの出来事についてです。

• 2017年9月：中国で仮想通貨の新規仮想通貨公開（ICO）を禁止
• 2020年2月：新型コロナによる仮想通貨市場の暴落
• 2021年5月：テスラ社のビットコイン決済停止
• 2022年11月：海外取引所FTXが破綻

2017年9月：中国で仮想通貨の新規仮想通貨公開（ICO）を禁止

2017年9月、中国政府は仮想通貨の新規仮想通貨公開（ICO）を禁止すると発表しました。このニュースは仮想通貨市場に大きな衝撃を与え、ビットコインの価格は3日間で約30％も下落しています。

出典元：CoinMarketCap

この政策発表の影響で、ビットコインを含む多くの仮想通貨の価格は短期間で大きく下落しました。

この時期の中国ではICOを通じた資金調達が注目されていましたが、中国政府はICOを違法行為とみなし、全面的に禁止したのです。実際に、ICOを使った詐欺行為が増加していたことが、規制の背景にあります。

この決定は、国家レベルの政策が仮想通貨市場に与える影響の大きさを示す出来事となりました。結果的に、市場の不安定さを引き起こし、価格の下落を招いたのです。

2020年2月：新型コロナによる仮想通貨市場の暴落

2020年2月、新型コロナウイルスが世界的に拡大し始めた時、ビットコインの価格は大幅に下落しました。この時期は、2月下旬から株式市場も大きく下落しており、ビットコインの価格は約半分に落ち込んでいることが確認できます。

出典元：CoinMarketCap

通常、ビットコインや金は株価が下落する際に「安全資産」として買われる傾向がありますが、この時は違いました。多くの金融商品の価値が著しく下がる中で、投資家は持ち資産を現金化するために売りに出し、その影響が仮想通貨市場にも及んだとされています。

特に3月12日の暴落は、アメリカで「ブラック・サーズデー（暗黒の木曜日）」と呼ばれるほどの大きな出来事でした。

この事件は、世界的な健康危機や大規模な経済的影響が仮想通貨市場に与える影響の大きさを示しています。

2021年5月：テスラ社のビットコイン決済停止

2021年5月、イーロン・マスク氏率いるテスラ社がビットコイン決済の停止を発表した時、ビットコインの価格は大きく下落しています。テスラ社の発表は、ビットコインの持つ潜在的な環境問題を指摘し、その結果としてビットコイン決済を停止するというものでした。

出典元：CoinMarketCap

テスラがビットコイン決済を開始したのは2021年3月のことで、わずか2ヶ月でのこの発表に、市場は大きく動揺しました。

テスラのような大企業の決断は、市場参加者の信頼や期待に影響を与えます。この事件は、ビットコイン市場が著名な企業や個人の発言や行動に非常に敏感であること、そして外部の出来事が価格に大きな変動をもたらす可能性があることを示しました。

2022年11月：海外取引所FTXが破綻

2022年11月、大手海外仮想通貨取引所FTXが資金不足により破綻した際、ビットコインの価格は大きな影響を受けました。

FTXは大規模な取引量を持つ大手取引所の1つであったため、投資家の間でリスク回避の動きを加速させ、ビットコインの価格は約20％近く下落しています。

出典元：CoinMarketCap

しかし、2022年はFTXの破綻以前から仮想通貨市場の下落が続いていました。特にその年の4月〜6月にかけては、ビットコインの価格が50％近くも下落しています。

中でもこの年の5月には、アルゴリズム型ステーブルコインUST（TerraUSD）が1ドル=1USTの価値を維持できなくなる問題が発生しました。これにより、USTを支えるガバナンストークンであるLUNAの信頼が失墜し、価格も大幅に下落したのです。

このように、2022年は仮想通貨市場に様々な要因が影響を及ぼした年でした。

ビットコインの暴落に備えてできること

ビットコインは様々な要因により価格が暴落することがありますが、これらの情報を事前に把握するのは難しいです。しかし、暴落に備えておくことは重要です。

そこで、次に起こるかもしれない暴落に備える3つの対策をご紹介します。

• 定期的なポートフォリオの見直しと調整
• 日頃から情報収集をする
• 暴落した時に取る行動を事前に決めておく

定期的なポートフォリオの見直しと調整

ビットコインの価格暴落に備えるためには、定期的なポートフォリオの見直しと調整が重要です。

ポートフォリオとは、自分が保有する金融資産の組み合わせを指し、株式や不動産、仮想通貨などへの投資割合をどう配分するかを考えることを意味します。

例えば、株式に40％、不動産に30％、仮想通貨に30％といったように分散して投資することで、適切なリスク管理が可能です。

日頃から仮想通貨だけでなく、他の投資先にも資金を分散させることで、ビットコインの価格が急落した場合のリスクを軽減できます。ビットコインは価格の変動が大きいため、過度に依存しないようにすることが重要です。

日頃から情報収集をする

ビットコインの将来の価格暴落に備えるためには、日々最新の情報を収集することが重要です。

ビットコインの価格は、国際的な規制や著名人の発言などのニュースに敏感に反応するため、できる限りこれらの情報を把握しておくことをおすすめします。

具体的には、仮想通貨に特化したニュースサイトをチェックする、取引所の公式HPや公式SNSアカウントをフォローする、仮想通貨に関して信頼できる情報を発信しているSNSアカウントを定期的に見るなどが有効です。

仮想通貨に関する信頼性の高い情報源を見つけ、常に最新の情報を収集することは、予期せぬ価格変動への備えに役立ちます。

暴落した時に取る行動を事前に決めておく

ビットコインの価格が暴落した時に備えて、暴落時に取るべき行動をあらかじめ決めておくことも重要です。

市場が急落した際は、多くの人が焦りや混乱を感じるため、冷静な判断が困難になることがあります。このような状況での決断は、短期的な価格変動に惑わされて大きな損失を招く可能性が高いです。

例えば、損切りのタイミングをあらかじめ決めておく、市場が落ち着くまで待つなど、具体的な対応策を用意しておくことが有効と言えます。

事前に暴落時の行動計画を立てておくことで、パニックに陥ることなく冷静に対応できるでしょう。

ただし、計画を立てるだけでは不十分で、実際にその行動を実行することが最も重要となります。

ビットコインが暴落した時の対処法

ビットコインの価格が暴落した場合に備えて、事前に対処法を理解し、準備しておくことが重要です。暴落時に取れる行動はいくつかありますが、その中でもおすすめの方法を4つご紹介します。

• 適切な価格で損切りをする
• 空売り（ショート）を狙う
• 買い増しをして平均購入価格を下げる
• 長期的な観点から静観する

適切な価格で損切りをする

ビットコインが暴落した際の対処法の1つとして、下落が止まらないと感じた場合には適切な価格で損切りする方法があります。

損切りとは、さらなる損失の拡大を防ぐために、現在の損失を受け入れて取引を決済する方法です。あらかじめ撤退ラインを決めておき、その価格までいったら損切りを実行する戦略が一般的です。

特に、初心者の方は事前に損切りラインを決めて取引をすることをおすすめします。損切りラインを決めておくことで、もし市場が予想と異なる動きをした場合でも、精神的な余裕を持って対応でき、不安を軽減できるでしょう。

空売り（ショート）を狙う

ビットコインを保有するだけでは、価格が下落する際に損失を避けるのは難しいですが、仮想通貨FXの空売り（ショート）を利用することで、価格の下落から利益を得ることが可能です。

空売りとは、現在持っていないビットコインを先に売り、価格が下がった後に安く買い戻す取引方法のこと。例えば、ビットコインの価格が400万円の時に価格が下がると予想したら、最初に「売り」ポジションを取り、価格が下がったら買い戻して差額分の利益を得るという流れになります。

この方法を使えば、ビットコインの価格が下がる時期でも利益を狙うことができるでしょう。

ただし、空売りにはリスクが伴います。予測が外れると大きな損失を被る可能性があるため、空売りは経験が少ない方にはあまりおすすめしません。

空売りをする場合は、リスクを十分に理解し、慎重に行ってください。

仮想通貨FXのやり方や空売り（ショート）については、こちらの記事で詳しくまとめています。併せて参考にしてください。

買い増しをして平均購入価格を下げる

ビットコインが暴落した際に、買い増しをして平均購入価格を下げる方法も、対処法の1つです。市場価格が下がった時に追加で購入することで、保有するビットコイン全体の平均購入価格を下げます。

具体的には、ビットコインが400万円の時に1BTCを購入し、それから価格が350万円に下落した場合、追加で1BTCを購入すると平均購入価格は375万円になりますね。その後、価格が375万円以上に回復すれば、利益が出る計算になります。

その時に、350万円で購入した分を売却し、利益とすることで、今後の取引にも余裕を持てるでしょう。

ただし、この戦略はリスクを伴います。市場がさらに下落する可能性もあり、追加投資が損失を増大させることも理解しておかなければなりません。

また、価格が将来的に回復する保証もないため、買い増しを行う際は、自身のリスク許容度と市場の状況を考慮することが重要です。

長期的な観点から静観する

長期的な観点から見て静観するというのも、ビットコインの価格が暴落した時の対処法の1つです。

ビットコインを始めとする仮想通貨は価格変動が激しく、短期間で価格が大きく動くことがあります。このような場合、短期的な価格変動に反応して頻繁に取引を行うよりも、長期的な投資戦略を持ち、市場の変動を静かに見守る方が良い場合もあるのです。

例えば、ビットコインは長期的に価値が上昇していくと見込んでいる場合、短期的な価格の動きに一喜一憂せずに、市場が自然に回復するのを待つ方が良いでしょう。

ただし、この戦略が適切かどうかは個々の投資目的やリスク許容度、投資期間などによって異なります。自分自身の投資計画と照らし合わせて判断することが重要です。

ビットコインを含む仮想通貨の今後はどうなる？

ここまでビットコインが暴落してきた理由や歴史、対処法などについて解説してきましたが、実際にビットコインを含む仮想通貨の今後はどうなるのでしょうか。

実は、世界的な金融機関や著名人、AIによる予測を見ると、意外にもポジティブな意見が多いです。長期的にビットコインの価格が大きく上昇すると考えられています。

具体的に、世界的金融機関による仮想通貨の将来の予想は、次のようになっています。

企業名	予想
CoinShares（英大手仮想ファンド）	最高値更新
JPモルガン（米投資銀行大手）	15万ドル
ゴールドマンサックス（米投資銀行大手）	10万ドル
スタンダードチャータード銀行（イギリス金融大手銀行）	12万ドル
マトリックスポート（暗号資産サービスプロバイダー）	12万5000ドル

仮想通貨の今後についての予測は、こちらの記事で詳しくまとめています。併せて参考にしてください。

まとめ

ビットコインの価格暴落には様々な要因がありますが、過去には以下5つの理由で暴落が起きたことがあります。

• 国家レベルでの規制や法的な制限
• 主要な取引所の破綻やハッキング事件 
• 世界情勢の変化
• 著名人による発言
• 株や為替などの影響

仮想通貨の価格変動は予測が難しく、暴落は突然起こることもあります。ビットコインの価格は上昇することもあれば暴落することもあるため、日頃から備えをしておくことが重要です。

暴落に備えるための具体的な対策は、以下の通りです。

• 定期的なポートフォリオの見直しと調整
• 日頃から情報収集をする
• 暴落した時に取る行動を事前に決めておく

ビットコインに投資する際には、リスクを十分に考慮し、余剰資金を用いることをおすすめします。この記事を参考にして、ビットコインの暴落への対策を行ってみてください。