メタバース関連職業の種類と仕事内容｜必要なスキルと探し方も解説

新しい仮想空間として注目を集めるメタバース業界は近年著しく成長しており、メタバースに参入する企業も増加傾向にあります。それに伴い、メタバース業界で働いてみたい、キャリアを積んでみたいと考える方が増えてきています。

しかし、メタバース業界で仕事をするためには、単にコードを書いたり、パソコンでビジュアルを作ったりするだけでなく、より深い理解が必要です。

この記事では、メタバース関連の職業の種類と仕事内容を解説し、必要なスキルや探し方についても言及していきます。

メタバース関連の職業に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

メタバース業界とはどんな業界？

まず、メタバース業界についてですが、現時点ではメタバースについての明確な定義はありません。しかし、一般的にはメタバースとは、「3Dインターネット空間」「3Dゲーム空間」などを表すと認識されています。

つまり、メタバース業界とは「3D」「インターネット」「ゲーム」が融合し、3D技術を導入したインターネット・ゲーム業界であると考えて良いでしょう。

2022年時点でのメタバースの国内市場規模は約1,825億円で、2026年には1兆円を超えるとまで言われています。5年間でこれだけの伸び代が予測されている業界は、中々ないのではないでしょうか。

世界企業もメタバース市場の将来性を高く評価しており、今後の成長性の高さを伺えます。

メタバースは今後、教育や広告、医療などの分野でも幅広く活用されていくと予想されており、将来性にも期待できる業界と言えるでしょう。

メタバース関連の職業の種類・仕事内容

では、そんなメタバース業界で働くには、どうすれば良いのでしょうか？

続いては、メタバース関連職の種類や仕事内容について解説します。メタバース業界の仕事を大きく分けると、主に以下3つの分野に分類できます。

• エンジニア職
• デザイナー職
• ビジネス職

エンジニア職やデザイナー職に就くには、専門スキルが必要です。一方で、マーケティングや営業などを担当するビジネス職では、IT系の知識やスキルがない方でも働ける可能性があります。

では、それぞれの職種について順番に解説いたします。

エンジニア職｜主にサービスや製品の開発

メタバース関連の職業で人気なのが、エンジニア職です。エンジニア職にも複数の種類がありますが、代表的なものとしては以下の3種類が挙げられます。

• プログラマーエンジニア
• インフラエンジニア
• ハードウェア開発者

プログラマーエンジニア

メタバース企業のプログラマーエンジニアは、メタバースを使用したアプリケーションの開発に携わることが多いです。

基本的にはメタバースに関するプラットフォーム構築のプログラミングなどの開発を行いますが、設計やデータベースからのデータ取得、クエリの作成、レポート作成などの仕事を任されるケースもあります。

その他、メタバースの設定、管理、セキュリティやパフォーマンスの最適化などを担当することも。

これらの業務をこなせるだけの知識・スキルがあると、メタバース関連企業への就職・転職もスムーズでしょう。

インフラエンジニア

メタバース企業のインフラエンジニアは、主にメタバースを実行するためのインフラストラクチャ（サーバーやネットワークなどサービスの土台となる仕組み）を構築し、維持、運用を行います。

もし、インフラエンジニアの支えがなければ、システムが急に動かなくなる、効率的に機能しなくなるといった可能性もあるため、縁の下の力持ちとしてメタバースには必要不可欠な存在です。

実際の業務では、障害が起こる件数を減らし、メタバースの品質向上にも役割も担っています。

企業によっては「バックエンドエンジニア」「サーバーエンジニア」といった職種で求人募集されている場合もありますが、インフラエンジニアと同様の意味合いです。

ハードウェア開発者

メタバース企業のハードウェア開発者は、メタバース企業でハードウェア製品の開発に携わります。

電子回路や機械設計、製造プロセスなどを使用し、コンピュータや通信デバイス、産業機器などのハードウェア製品を設計・開発するのが、ハードウェア開発者の仕事内容です。

例えば、ゲーム機やVRヘッドセット（Meta Quest2など）、VRゴーグルといったハードウェアの開発を必要に応じて行います。いわゆる、モノ作りに関連した職種とも言えますね。

ハードウェア開発者は、製品のパフォーマンス、安全性、コストなどの要件を満たすために、日々試作を重ねながら開発を進めています。

デザイナー職｜コンテンツの制作

次にご紹介するのは、デザイナー職です。デザイナーはメタバースの見た目やキャラクター、アイテムのデザインなどの制作を行います。

エンジニア職の仕事内容がメタバース開発を行うことであるなら、デザイナー職の仕事内容は「開発されたメタバースに対して美しくコーティングしていく」ことと言えるでしょう。

メタバースのデザイン職にも複数の種類がありますが、代表的なのは以下2つの職業です。

• 3DCGデザイナー
• UI／UXデザイナー

デザイナー職はフリーランスで働いている方もいますので、副業としても取り組める可能性があります。

3DCGデザイナー

メタバース企業の3DCGデザイナーの仕事内容は、コンピュータグラフィックス（CG）技術を使用して、三次元空間上に物体やシーンをデザインすることです。

主に、メタバース空間の見た目やキャラクター（アバター）、アイテム、建築物のデザインなどを行います。

デザインを行う際は、主に「Maya（マヤ）」や「Blender（ブレンダー）」などのツールが使用されますので、これらを扱うスキルが必要です。

また、3DCGデザイナーは、ゲーム、映画、アニメーション、建築などの3DCG制作に幅広く携わる場合もあります。

UI／UXデザイナー

メタバース企業のUI/UXデザイナーは、UI（ユーザーインターフェース）やUX（ユーザーエクスペリエンス）のデザインに携わります。

メタバースのWebサイトやアプリケーションなどのインターフェースをデザインし、ユーザーが使いやすく、直感的に操作できるようにするのが仕事です。

また、ユーザーのニーズや操作環境を調査し、アプリケーションやサイトを最適化するためのUX戦略を立てることもあります。

UI/UXデザイナーは「Figma（フィグマ）」や「Sketch（スケッチ）」などのツールを使用してデザインを行うため、これらの使用経験やスキルが必要です。

ビジネス職｜運営や販売、接客など

最後にご紹介するのが、ビジネス職です。ビジネス職とは、運営や販売、接客、マーケティングなどに関わる仕事のことです。

開発されたメタバースを広める、案内をして販売する、利益に繋げていくことが主な仕事内容で、一般的にはITの知識やスキルよりコミュニケーション能力やマーケティング関連のスキルの方が重要とされています。

ビジネス職の中でも代表的な職業は、以下の5種類です。

• 営業・販売
• 広報担当のPR
• 接客
• 企画・マーケティング
• コンサルティング

営業・販売

どの企業でも重要なのは、開発された商品を広めて販売していくことです。メタバース業界においても、開発されたメタバースの関連サービスや広告枠など販売する役割を、営業・販売職が担っています

営業や販売担当者は、顧客ニーズを把握し、それに応じたサービスを提供するため、ある程度の実務経験が必要です。

広報担当のPR

メタバース企業にも、広報やPRを担当する部署が存在します。メタバースに関する膨大な知識を必要としますが、自社のサービスを宣伝し、顧客獲得やイメージ戦略をしていくうえでは欠かせない職業です。

一般的に、広報担当のPRは企業のイメージやブランドの維持や向上を目的としてPR発信をします。また、社会全体との関係を構築し、維持することも広報担当の役割です。

メタバース企業においても、公式HPやSNSを通して自社のメタバースや関連サービスをPRし、ブランディングすることが主な仕事内容となるでしょう。

接客

メタバース業界には、メタバース内で接客をする「アバターワーク」と呼ばれる仕事があります。

「アバターワーク」とは、自分自身を「アバター」と呼ばれる仮想のキャラクターに置き換えて操作し、接客や与えられたタスクをこなす仕事です。アルバイトの求人も出ており、副業で働く方も増えてきています。

主な職種としては、「案内スタッフ」「販売員（店舗スタッフ）」などがあり、メタバース内に入ってきたお客さんに商品やサービスの案内を行います。

アバターワークの求人募集はまだ多くありませんが、将来的には需要が高まると考えられている注目度の高い仕事です。

企画・マーケティング

企画・マーケティング職も、メタバース企業にとって非常に重要な存在です。

企画職は、顧客ニーズや市場動向を調査し、プラットフォームの活用法や製品、サービスの開発戦略を立てるのが仕事です。

マーケティング職は、製品やサービスを販売するための戦略を立て、ターゲットの顧客にアピールする広告やプロモーションを制作します。

どちらも、利用者や売上を伸ばすために欠かせない職種です。

コンサルティング

メタバースの導入や活用に向けたコンサルティングを行う仕事もあります。

企業の戦略、組織、プロセス、人材などの課題を解決するためのアドバイスを行い、場合によっては自社のサービスを提案する営業職に近い役割を担うことも。

企業によっては「メタバースコンサルタント」という名目で募集されています。

メタバース関連職におすすめの転職エージェント

メタ―バース関連企業への転職を希望されているのなら、転職エージェントの利用をおすすめします。

自分ひとりで活動をして仕事を探す転職サイトとは異なり、担当者と二人三脚で転職活動に臨めるのが、転職エージェントのメリットです。

場合によっては転職市場に出てこないクローズドの求人を紹介してくれることもありますし、履歴書の作成や面接のアドバイスなどのサポートも提供してくれます。

メタバース関連の仕事は新しい分野の職種ですので、こうしたサポートを受けることで仕事が探しやすくなるでしょう。

転職エージェントによっては利用するのに費用がかかる場合もありますが、基本的には無料で利用できるエージェントが多いです。

ここでは、メタ―バース関連企業への転職におすすめの転職エージェントを、3社ご紹介します。

• リクルートエージェント
• レバテックキャリア
• doda

いずれも、利用するのに料金はかかりません。

リクルートエージェント

運営会社	株式会社リクルート
公開求人数	333,742件（2023年1月時点）
非公開求人数	276,137件
料金	無料
対応エリア	全国
公式HP	https://www.r-agent.com/

▼おすすめポイント

• IT関連の求人も充実している
• 無料で全てのサービスが利用できる（有料セミナーは除く）

リクルートエージェントは、人材会社大手のリクルートが運営する転職エージェントです。

求人数は国内トップクラスで、幅広い業種の求人情報を取り扱っています。IT関連の求人も充実しているため、メタバース関連の職業を探すのにもおすすめです。

求職者のニーズに合った求人情報を提供してくれるだけでなく、面接や契約などのサポート充実しているため、戦略を立てながら転職活動を行えます。

有料セミナーを除き、全てのサービスが無料です。多様な業界の求人を多数扱っているため、仕事探しの選択肢を広げるためにも優先的に登録しておきたいエージェントの1つです。

レバテックキャリア

運営会社	レバテック株式会社
公開求人数	約17,000件（2023年1月時点）
非公開求人数	非公開
料金	無料
対応エリア	・関東（東京・千葉・埼玉・神奈川） ・関西エリア全域・九州（福岡）
公式HP	https://career.levtech.jp/

▼おすすめポイント

• ITエンジニア専門・デザイナー専門の転職エージェント
• 専門のアドバイザーからサポートを受けられる

レバテックキャリアは、ITエンジニア・デザイナー専門の転職エージェントです。IT系の求人募集には、メタバース関連の職業も含まれています。

レバテックキャリアの特徴は、ITエンジニア・デザイナーの転職に精通したキャリアアドバイザーから、充実したサポートを受けられること。履歴書の作成や面接対策など、転職に必要なサポートも受けられます。

対応エリアが限られているためお住いの地域によっては使いづらい場合もありますが、リモートワークや在宅勤務の職業も多く取り扱っているため、求めている働き方が見つかるかもしれません。

doda

運営会社	パーソルキャリア株式会社
公開求人数	179,812件（2023年1月時点）
非公開求人数	非公開
料金	無料
対応エリア	・関東（東京・千葉・埼玉・神奈川） ・関西エリア全域・九州（福岡）
公式HP	https://doda.jp/

▼おすすめポイント

• IT・WEBエンジニアの求人も多い
• 企業視点でのアドバイスを受けられる

dodaは、求人数の取り扱いが国内トップクラスの転職エージェントです。リクルートには及びませんが、17万以上と非常に多くの求人数を保有しています。

IT・WEBエンジニアの求人も多く、メタバース関連の職業を探すのにもおすすめ。

経験豊富なキャリアアドバイザーが、履歴書の作成や面接のシミュレーション、問い合わせ対応の提案などまで、企業視点でアドバイスをしてくれるため、充実したサポートが受けられます。

求人企業への応募書類の提出や面接日程の調整などもdodaが代行してくれるため、転職活動の負担を軽減でき、安心感にも繋がるでしょう。

求人数やサポートなどのバランス面でも、転職初心者が安心して利用できるサービスです。

メタバース企業で手軽に働いてみたい方にはアルバイトの求人もおすすめ

メタバース関連の企業は、メタバース内で接客や案内などを行うアルバイトも募集しています。

「メタバース関連の仕事をしてみたいけど、いきなり本格的に働くのはちょっと…」という方は、アルバイトから体験してみるのもおすすめです。

メタバース内でアルバイトができるアバターワークの事例としては、以下のような職種があります。

• 案内スタッフ
• 販売員（店舗スタッフ）
• イベントなどの司会者

メタバース内のアルバイトについてはこちらの記事で詳しくまとめていますので、併せて参考にしてください。

メタバース関連の仕事をするために必要なスキル・知識

メタバース業界の職種を下記3職種に分けてご紹介しましたが、それぞれ求められるスキル・知識が異なります。

• エンジニア職
• デザイナー職
• ビジネス職

各職種で企業側が求めているスキル・知識、または実務経験があれば、就職・転職の際に有利となるでしょう。

メタバース業界で働くために必要なスキル・知識については、こちらの記事で詳しくまとめています。併せて参考にしてください。

メタバース関連の仕事を始める前に知るべき3つの注意点

最後に、メタバース関連の仕事を始める前に知っておきたい3つの注意点をご紹介します。

• ITの知識・スキルが必要
• 法整備が追いついていない要素もある
• デスクワークや在宅勤務が多い

ITの知識・スキルが必要

メタバース関連の仕事をする際は、ある程度のITの知識やスキルが必要となります。

例えば、製品の開発やサポート、コンサルティングなどのポジションでの採用を目指すなら、プログラミングやデータベース、クラウドコンピューティングなどの知識やスキルが必要です。

また、ビジネスアナリティクスやデータサイエンスなどのスキルを持つことで、データ分析やビジネスインテリジェンスなどのビジネス職に就ける可能性もあります。

一方で、ITの知識やスキルよりも、コミュニケーション能力やマーケティング関連のスキルの方が重要となる職業もありますので、募集内容を確認してみてください。

スマホなどのデバイス操作、SNSでの発信などによってプラットフォームやサービスの最適化やPRする部署もありますよ。

法整備が追いついていない要素もある

メタバース企業が取り組む技術やビジネスモデルは、現在の法整備では対応しきれていない場合があります。そのため、法的な不確実性やリスクが生じ、ビジネス上の制約やハードルが高くなる可能性があるのも事実です。

例えば、アバターやアイテムの著作権問題、メタバースがハッキングされた場合のトラブルなど、これらには現在の法律では対応しきれない可能性があります。

今後すぐに法整備が追いつくことは難しいと考えられているため、何かトラブルが起こった際は、社会的責任に影響してくることも予想されます。

デスクワークや在宅勤務が多い

メタバース関連の仕事は、デスクワークや在宅勤務が多いです。それにより、体調を崩したりする場合もありますし、運動不足や外出の機会が減るなど、ライフワークにも支障が出る場合もあります。

また、在宅勤務が多くなることで人との接点が減りがちになり、周囲の人間とのコミュニケーションが軽薄になる可能性もあります。

まとめ

メタバース業界は市場規模が年々拡大しており、将来性の高さから注目を集めています。

そんなメタバース関連企業の募集職種は、大きく分けて以下の3つ。

• エンジニア職
• デザイナー職
• ビジネス職

エンジニア職やデザイナー職には専門スキルが必要となりますが、マーケティングや営業などを担当するビジネス職では、IT系の知識やスキルがない方でも働ける可能性があります。

一人での転職活動が不安な方は、IT業界に強く多くの求人を扱っている転職エージェントを利用すると良いでしょう。

この記事でご紹介した3社のエージェントは、いずれも無料で利用可能です。

• リクルートエージェント
• レバテックキャリア
• doda

メタバースといっても様々な職種があります。一定の知識やスキルが必要となる職種が多いですが、アルバイトからでも体験可能な職種もあり、求人数も増加中です。チャンスのある業界ですので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。

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【出典一覧】

• https://www.r-agent.com/
• https://career.levtech.jp/
• https://doda.jp/