「よくも、私の大事なアキを殺したわね!ぬぅ、小娘めっ、絶対許さない!」
女王はすぐにシンジュが森への出兵を考えました。
しかし、シンジュが森は甲獣の支配する森。森は危険なレヴィセンスで満たされており、
真っ向から戦いを挑んでも勝ち目がありません。
女王は閃きました。
「ここは単純なパルムを行かせて……クックックッ」
捨て駒として挙げられたのは、まだ幼さの残る八番目の王子パルム。
パルムは純粋で素直で母親を慕っていましたが、女王にとってアキ以外は大勢の息子の中の一人でしかありませんでした。
「心優しいお前の兄は、シンジュが森に棲む醜い女に残虐非道な手口で殺された」
女王はパルムをあおり、告げました。
「シンジュが森からレコをおびき出して来れば、お前に王位を譲ろうではないか」
母王の提案はパルムにとって思いがけないチャンスでした。
兄の敵を討つための大役、
しかも王位を継承することで自らの寿命は延び、地位も得られる……。
「母様、僕、絶対にその女を連れて来るよ!」
翌朝、パルムはお気に入りの恐獣を駆り意気揚々とシンジュが森へ出発しました。
……王位を継承できる子は他にもいる。
一人くらい毒にやられても問題ない。
そんな女王の思惑は露知らずに。
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