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前編:第2章「小澤征爾氏との関係」

世界的マエストロ「小澤征爾」氏とは一体どんな人物なのでしょうか?
小澤氏の側にいる宮本氏だからこそ聞ける小澤氏の本当の姿とは。

: 小澤さんもコミュニケーションは上手だと思うけれど、ドイツで、ということになった場合に、コミュニケーションをサポートするようなこともあったのでは?

: 当時、ケルンにいるころですね、小澤さんが泊まっているところの、朝発つときに、「朝何時に来てくれねーかなー」って、一体何するのかと思ったら、「悪いんだけど、荷物つめるの手伝ってくれる?」って。
ところがあの人はね、荷物のない人。トランクを持ってないんだから。
で何をするのかなと思ったらさ、「この袋にさ」って渡されたのはスーパーの白い袋。
「それに洗面所にある髭剃りとか歯ブラシを入れてくれ」って言うんだよね。
で「俺はFAXの整理してる紙を入れるから、お前洗面所の全部入れてくれる?」って。
で、よっぽどあるのかな、と思ったら、歯ブラシ入れて、髭剃りの、T字型のね、それを入れたら終わっちゃったのよ。
小澤さんアフターシェイブとかヘアートニックとかないんですか、って言ったら、「何だそれ?」と。
「使ったことねえよ俺は」というような人でね。

: そうかー、髪の毛もそうだよな、そのまんまでね。

: たぶんね、着替えやなんかは演奏会場で汗かいた段階で着替えて、演奏会場のところで袋詰めにしてると誰かがやってくれるんでしょうね。 だから彼自身は、終わった後に洋服着替えたらそのまんまみたいよ。
で、小澤さんってフランク・シナトラも泊まるような部屋に泊まってるわけですよ。
で、出入り口のドアボーイの人なんかは、ちゃんとね【マエストロ】っていうのよ。
でもあれが小澤征爾だってわからなかったら、多分、出入り禁止の格好よ。
あの人の普段着っていうのはもうすごいよ。
あの年季の入ったスニーカーと、よれよれのズボン、それと上が長袖のポロシャツ、それであれだから(笑)

: ドイツって、芸術家、神父さん、教授を尊敬するよね。

: でもまあ、ほんとはもうちょっとちゃんとして欲しいなと思うけど、あの人だから許される。
ちょっとうらやましい。
どこに行ってもマエストロって、俺があんな格好したら言われないと思う(笑)

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