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シシン編


東の国。鬼の面をつけ、荒れ狂い、

人の肉を喰らう大男、シシンがいた。

言葉が喋れず、式神が与える苦痛が気を狂わせ、

それを恐れる村人たちが

シシンを本物の鬼にさせていた。

シシンに宿る式神、力王は語る。

「シシンよ・・・人だ、人の肉を喰え!

さすればワシが貴様に永遠の命をやろう。」

苦しみによって半狂乱のシシンには

力王に従うしかなかった。

そのおかげか、シシンは式神を宿し一年以上も

生き長らえる事ができたのだった。

しかしある朝シシンは夢を見た。

それは大層美しい女神が語りかけるものだった。

「シシン・・・獄門山へ行きなさい。

そこには自由がある、苦痛からの開放がある、

そしてあなたの最愛の・・・」

目を覚ましたシシンはその夢をお告げと信じ

旅にでた。

何一つ確信も持てない夢の女神を信じて・・・。

源助編小雨編

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